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製品開発ポイント-検査における法則1

  1. 品質
  2. 検査
  3. 量産

製品の検査法則1について説明します。

1.検査員の心情的法則

一つめは同じ検査でも工程を多く設定するほど不良数は増えるという法則です。

これは、どういうことでしょうか。例えば、リンゴのキズが無いかを確認する検査を2人の検査員にお願いします。検査員はリンゴのキズの有無を検査していきます。この時に実は2人の検査員はお互い検査の状況を気にする心情が心理的に生じるているのです。要するに「私が行っている検査は正しいだろうか?」という不安がもう一人の検査員の検査状況を気にする意識を生むのです。片方の検査員が100個検査したリンゴの中でキズの有るリンゴを5個見つけたとします。

もう片方の検査員が1個も発見していなければ、不良検出0個の検査員は「あれ?私は間違った検査をしているかもしれない」と気になります。いえ、私は一切気にならないです!という方も勿論いらっしゃるでしょうね。しかし申し訳ございませんが検査員心情として気になってしまう傾向について続けて論じてまいりましょう。

つまり、検査員は一定数量の母数に対して不良発見数ノルマを自身に課せてしまうのです。これは、検査員の心理に「自分の検査作業を評価されたい」という意識が働くことが要因であり、もっと言うと「さすが○○さん、よく見つけたね!」と褒められたいのです。

さらに、ここで2人が検査した検査済のリンゴを再確認と称して新たな2人の検査員に再検査させたとします。先に2人の検査員が検査しているので、もはやキズの有るリンゴは一切無いであろうはずが、次の2人の検査員による検査でもキズのあるリンゴが見つかります。これも同様の心理的要因によるものです。

検査の結果不良数0個という結果は、自分の検査が正しくないという心理的不安を生じさせてしまうのです。意地でもキズの有るリンゴを見つけるべく目を皿のようにして検査していくでしょう。そして、考えたくないですが最後には「自らキズを付けてでもキズの有るリンゴを見つけた実績を残す」という心理まで働く場合があるのです。

この場合、勿論ながら検査による見落としがあることも当然ありますし、再検査でもキズの有るリンゴは見つかることに不思議は無いと言えば確かにないのですが、大事なことは検査員も人間であり心理的要素を持つということを忘れてはならないのです。