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製品開発ポイント-部材の必要数と発注数

  1. 生産管理
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必要な数量の部品を必要な数量だけ必要なタイミングで手配する必要性について説明します。

1.必要な数量を必要なタイミングで

トヨタ生産方式でもよく知られる「ジャストインタイム」。必要な数量の部品を、必要な数量だけ、必要なタイミングで手配するというものです。

この方式は、その部品を発注する側と部品受注を受ける側の間の関係性において、受注した受け手側のパフォーマンスを要求する側面が強く、発注者が必要なタイミングに受注者が納品する仕組みを構築することを要求されます。したがって、多くのケースがいつでも発注者の求めるタイミングで要求数量を納品できるように「在庫」を持つ対応を取ります。

筆者は発注側も受注側も互恵関係にあることが重要と考えていますので、この「ジャストインタイム方式」には思うところもありますが、基本的な考え方としての無駄のない部品数量を手配することでは同じ重要性を認識しています。

当然、必要以上に部品を手配することは、無駄な買い物をすることと同義です。しっかりと必要数量を確認して発注をしていきたいところです。

2.MOQ・SPQ・SNP

必要数が200個だとして200個を単純に発注すればよいかというと、そうもいかないこともあります。部品等の受注には条件がある場合があるからです。多くは見積もり段階で提示されるものであるが、その条件にMOQ」「SPQ」「SNPがあるのです。

MOQMinimum Order Quantity)は最小発注数量を指します。つまり、MOQ500個という条件であれば、501個でも、502個でも発注できるが、200個は発注できないということになるのです。その部品を製造するにあたり、素材料の調達量の関係やメーカーの利益性の都合で500個以上でないと製造できないという条件です。

SPQStandard Packing Quantity)は最小発注単位を指します。これは発注する際の単位を条件にしたものです。例えば、SPQ500個という条件であれば、500個・1000個・1500個というように500個の倍数での発注数量が条件になります。製造工程都合上500個単位で生産される場合(例えば一度に500個ずつ炉入れする焼き物など)はこの条件になるでしょう。

SNPStandard Number of Package)は発送梱包単位を指します。一箱の入数を発注単位として条件にしたものです。SNP300個という条件の場合は、200個だと箱の入数がいっぱいにならないため決められた梱包形態がとれなくなるからです。したがって、梱包入数を発注数量の条件にするのです。

これらの、発注条件は同一単価で発注が成立する条件であり、この条件を満たさない数量であると単価が高くなる場合があります。必要数とこの条件を鑑み、発注手配数量を決めなくてはならないのです。

3.適正在庫数と発注数量

必要数が200個の製造計画に対して単純に200個を発注することでは問題があるもう一つの考え方に「安全在庫」という管理ポイントがあります。

別なところでも触れましたが、製造には「リードタイム」という発注から納品までの必要な時間があります。部品を200個発注し納品するまで14日間をリードタイムとして要する場合、1日あたりに工程でその部品が40個使用されるとなれば納品された200個は5日で消化されることとなるでしょう。つまり、初回発注数が200個では工程が次の部品入荷待ちのロスを生じるのです。連続して作業工程が40個ずつ当該部品を使用し続けるのであれば、それを見越してリードタイムの時間を考慮し、40個×14日間の560個を発注手配する必要があります。

厳密には、入荷された部品は受け入れ検査や入荷在庫管理手続きを経るため、入荷日に使用できない場合があるためその期間分もプラスする必要はあり560個以上は必要でしょう。この場合の200個以上の発注数量は「適正在庫分の発注」と呼ぶことになります。

ちなみに、入荷された在庫がどの程度の期間で払い出し(使用するために在庫倉庫から出庫)されていくかの指標を「在庫の回転率」と呼びます。この回転率が悪いということは在庫過多であるということです。

例えば、ある部品をA工程→B工程→C工程と流す場合に必要なトレーがあったとします。そのトレーは使いまわしになるため、C工程で使用が終わったらA工程に戻り再度A工程から使用されるものです。毎日40個ずつ使用される部品のためのトレーであれば、どのくらいの数量のトレーが必要になるか?40個×3工程でよいのでしょうか?

答えはNOです。部品をA工程作業用に事前にトレーに並べて準備する段階で40個。A工程作業中で40個。B工程へ移動中で40個。B工程作業中で40個。C工程へ移動中で40個。C工程作業中で40個。それと次の日のA工程の準備分で40個、計280個が必要になります。これも、ある意味で適正数量を掌握することでは重要なポイントです。

このように、よく発注する品物の使用頻度と発注リードタイムを考慮の上、手配数量を合理的に考えていくことが大切です。