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製品開発ポイント-量産の壁

  1. 量産

試作と量産とは何が大きく違うのか、量産への壁についてご紹介します。

1.試作と量産の違い

プロトタイプの試作ができ設計がひとまず完了すると、量産に向けてプロダクトを進めていくために様々準備が必要です。意気込みよく、資金を集め、さあ量産を開始! ・・・とはいきません。試作ステップから量産移行へは、いわゆる「量産の壁」というハードルがあります。

まず試作と量産とは何が大きく違うのでしょうか?

それは、量産とは同じクオリティのものを複数製造することが可能な整った製造環境で製造することがポイントになります。

試作とは、設計上のある目的に対して製作する成果物になります。その目的は多くは設計の検証です。「設計の妥当性確認作業」と呼びます。CADソフト上での設計の問題点を抽出するために実際に形にしてみるという目的です。しかしながら、試作製作は数量も1個もしくは少量になることが多く、且つ設計検証の目的に合うように製造します。したがって、コストはある意味度外視なのです。

量産はそれとは違い、設計が完了し仕様が確定した製造品を複数作ります。それは販売される製品として市場へ出ます。当然品質に関しては約束された条件を要求されます。その品質を全製品維持しながら複製しなければなりません。要するに「同じものを同じように同じクオリティで作る」ことが重要になります。しかも、大事なのはコストを管理しなければならない点です。決められたコストの中で、品質を維持し、製造する。

この違いをまずは認識することが大切です。

2.量産設計とは

設計には、大きく2つフェーズがあります。一つは「試作設計」。もう一つは「量産設計」です。

「試作設計」とは、製品の構造や機能を構築して完成した状態までにする設計です。この設計作業が完了すれば、その設計値に基づく製品を試作することも可能です。

「量産設計」とは、試作設計まで完了した製品を量産するために大量生産の製造がしやすいように設計値を見直す設計フェーズです。これを「量産性の確立」といいます。一つ一つの部品を製造する際、その部品を加工する人は材料を手配し、加工用の治具や金型というものを製作し、部品加工をする機械の設定を調整、作業手順を整理、検査項目を決めて、梱包形態や輸送方法を設定し、それから量産作業に入ります。これらの全てを可能な限り低コストで行うことが望ましいことになります。

低コストで行うということは、言い換えれば簡単にできるということです。簡単に手に入る材料、簡単に製作できる金型、手間のかからない機械調整、簡単な作業手順、品質条件は厳しくない、輸送しやすい梱包にすることが可能、というものにしなければなりません。その条件に合うように試作設計の内容を変更する見直しを「量産設計」と呼びます。